キューポイントのやり方

では、しわ寄せはどこへ行っているのか

目 次

  1. ① 引き継ぎが、丸ごと消えました
  2. ② 聞かなくても分かる範囲を、広げました
  3. ③ AIとツールの使い方を、覚え続けています
  4. 止められないのは、ここです
  5. 集まるのをやめたのに、社内では集まっている
  6. このやり方が向かない相手もいます
  7. なぜ、そこまでするのか
  8. まとめ

ここまで4回、やらないことばかり書いてきました。

  • 打ち合わせで、聞きません(45分で終わります)
  • 原稿を、お待ちしません
  • 定例会議を、やりません
  • こちらのツールに、合わせていただきません

これだけ並ぶと、当然こう思われると思います。

「じゃあ、そのぶんの仕事は誰がやっているのか」

先に答えを書きます。どこかに溜まっているわけではありません。

減ったものと、増えたものがあって、入れ替わっただけです。その中身を書きます。


① 引き継ぎが、丸ごと消えました

いちばん大きいのはこれです。

以前は、ディレクター・デザイナー・コーダーで分けていました。いまは、ひとりが最初から最後まで持ちます。

4本目に書いたとおり、これは思想ではありません。単価が下がる中でディレクションだけが増えて、採算が合わなくなったからです。

ただ、やめてみて分かったことがあります。引き継ぎは、消しても何も困らない仕事でした。

聞いた話を次の人に渡す。渡すために、資料にする。渡ったあとに、認識が違っていて戻る。この時間は、画面が1ミリも進まない時間です。

ひとりで持つと、これが丸ごと消えます。そのぶんが、原稿を書く時間になりました。

ここは「引き受けた」のではありません。やめただけです。


② 聞かなくても分かる範囲を、広げました

1本目に書いたことです。

45分で終わるのは、聞かないことを決めているからです。そして聞かないでいられるのは、推測できる範囲が広がったからです。

これは時間をかけて増えたもので、近道はありませんでした。業界を絞ってこなかった結果、業界ごとの型よりも会社ごとの違いのほうが大きいと分かってきた。それだけです。

引き出しが増えた分だけ、お聞きすることが減りました。


③ AIとツールの使い方を、覚え続けています

ここが、しわ寄せの本当の行き先です。

提案書、原稿の下書き、デザイン、コーディング。全工程でAIを使っています。

ただ、ここは誤解されやすいので、はっきり書いておきます。

AIを使うと、速く安く作れます、という話ではありません。

浮いた時間は、内容の精査に回しています。AIで浮いた時間を、中身に使う

下書きが早く出るぶん、「これは本当にそうなのか」を確かめる時間が取れます。書いた文章が事実と合っているか、その会社の言い方になっているか。 そこに使っています。

正直に言うと、AIが書いた文章は、放っておくと膨らみます。 それらしい言葉が増えて、中身が薄くなる。だから読み直す時間が要ります。

速くなった分を、そのまま納期の短縮にはしていません。


止められないのは、ここです

ひとりが最初から最後まで持つということは、ひとりで持てる量が、そのまま会社の上限になるということです。

人を増やして解決する形にしていない以上、ひとりが扱える量を増やし続けるしかありません。

だから、社内ではツールの使い方の勉強会をずっとやっています。あわせて、作り方の手順そのものを、しょっちゅう変えています。 去年と同じやり方は、たぶんしていません。

これが、いちばん正直な答えです。

やらないと決めた分は、覚え続けることに変わりました。

つらいわけではありません。ただ、止めた瞬間に成立しなくなります。

原稿を待たないのも、定例をやらないのも、相手のツールに合わせるのも、全部「ひとりで通せる」ことが前提です。その前提は、放っておくと保てません。


集まるのをやめたのに、社内では集まっている

3本目で「定例会議をやめました」と書いておいて、社内では定期的に集まっている。矛盾しているように見えると思います。

ただ、この2つは向きが逆です。

定例は、決めることがない日も開かれる。待ち時間を作る側でした。

勉強会は、聞かなくて済む範囲を広げるためのもの。待ち時間を減らす側です。

やめたのは前者、続けているのは後者です。同じ「定期的な集まり」でも、目的が反対を向いています。


このやり方が向かない相手もいます

うまくいく話ばかり書いてきたので、成立しにくい場合も書いておきます。

社内の合意形成に人数がかかる会社です。

うちのやり方は、先に見せて、その場で違うと言っていただくことで成り立っています。だから、見た人がその場で判断を返せないと、そこで止まります。

  • 見ていただいた → 持ち帰って会議 → 次の会議 → 上に上げる

こうなると、こちらがどれだけ推測の精度を上げても、埋められません。 ここだけは、うちの側の工夫では解決できない部分です。

そういう場合は、判断できる方に最初の45分へ入っていただくようにお願いしています。それが難しいなら、正直に言うと、定例をやったほうがうまくいくこともあります。


なぜ、そこまでするのか

親切だからではありません。

そのほうが、早く終わるからです。

これまで4回書いてきたことは、全部同じ1つのことでした。

お客さまが止まっている時間を、消す。

原稿を待つ時間。定例日まで待つ時間。ツールの使い方を調べる時間。どれも、誰の手も動いていない時間です。

キックオフから公開まで、1か月半から2か月です。そのあいだ、こちらからお願いするのは最初の45分だけで済んでいます。

そのために、こちら側を作り替えました。それだけの話です。


まとめ

  • やらない分は、どこかに溜まっているわけではありません
  • 引き継ぎは、消しても困らない仕事でした。やめただけです
  • 聞かずに済むのは、推測できる範囲を広げてきたから
  • そして、やらないと決めた分は「覚え続けること」に変わりました
  • ツールの勉強会と、手順の作り直し。つらくはありませんが、止められません
  • 社内の合意形成に人数がかかる場合は、このやり方が向きません
  • そこまでするのは、そのほうが早く終わるからです

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