要件定義と発注の実務

制作会社に渡す情報は、どこまで揃えてから相談すべきか

目 次

  1. 「揃えてから」で止まってしまう方が多いです
  2. 要件定義の情報を、揃えなくていい理由
  3. 1. 整理すると、情報が減ります
  4. 2. 何を渡すべきかは、案件によって違います
  5. ひとつだけ、先にやると早いこと
  6. いらっしゃらない場合
  7. あると助かるもの(なくても進みます)
  8. 「まだ何も決まっていない」で構いません
  9. それでも揃えなければいけない場合
  10. 向くケース・向かないケース
  11. この進め方が合うケース
  12. 合わないケース
  13. 締め

制作会社に渡す情報は、揃えなくて大丈夫です。

私たちの場合、45分のヒアリングで伺えれば足ります。

ただ、揃えるより先にやると明らかに早くなることが、ひとつだけあります。社内で、前のサイトのやり取りをしていた方を探しておくことです。


「揃えてから」で止まってしまう方が多いです

ご相談のとき、こう言われることがよくあります。

「もう少し社内で整理してから、改めてご連絡します」

そして、そのまま数か月が経つ——という流れは、珍しくありません。責める話ではまったくなく、通常業務があるので当然です。

整理する作業は、本業の合間にやることになります。しかも、何を整理すればいいのかが分からない状態から始まります。終わりが見えないので、後回しになります。

ですので、私たちは揃える前に来ていただくほうがいいと考えています。


要件定義の情報を、揃えなくていい理由

理由は2つあります。

1. 整理すると、情報が減ります

社内で要望を集約すると、たいてい当たりさわりのない言葉になります。

「使いやすく」「見やすく」「会社の魅力が伝わるように」——このあたりに落ち着きます。集約の過程で、角が取れていくからです。

そして、当たりさわりのない要望からは、当たりさわりのないサイトしか出てきません。

私たちが打ち合わせで見ているのは、最初に口に出された項目と、説明が急に長くなった項目です。この2つが、その会社にとって本当に重要な項目です。

これは、整理された資料からは出てきません。話していただいて初めて出ます。

2. 何を渡すべきかは、案件によって違います

「どこまで揃えるべきか」に一般的な答えがないのは、必要なものが案件によって違うからです。

既存システムとの連携があるかないかで変わります。リニューアルか新規かで変わります。原稿があるかないかで変わります。

この判断は、こちらでできます。 45分お話を伺えば、何が必要で何が不要かが分かります。お客さまが先に判断する必要はありません。


ひとつだけ、先にやると早いこと

揃える必要はないのですが、確認しておくと明らかに早くなることがあります。

社内に、前のサイトのやり取りをしていた方がいらっしゃるか。

いらっしゃるなら、その方に打ち合わせに同席していただくと、45分の密度がまったく違います。誰を窓口にするかはホームページの要件定義、社内の誰が書くべきかに書きました。

理由は、経緯をご存じだからです。

分かることどこにあるか
ドメインをどこで取ったか調べれば分かるが、時間がかかる
サーバーの契約名義同上
前の制作会社とのやり取り記録が残っていないことが多い
過去に何を試して、何がうまくいかなかったか社内の記憶にしかない

最後のひとつが、いちばん大きいです。

「以前、ブログを始めたけれど3か月で止まった」「フォームを増やしたけれど問い合わせは変わらなかった」——こういう話は、資料には残りません。でも、同じことを繰り返さないために、いちばん役に立つ情報です。

その方が担当になる必要はありません。同席していただくだけで構いません。

いらっしゃらない場合

前の担当者が退職されている、というのはよくあります。

その場合も、まったく問題ありません。「分からない」と言っていただければ、そこから調べる前提で進めます。ドメインやサーバーの調べ方も、こちらでご案内します。


あると助かるもの(なくても進みます)

念のため、すでにお手元にあるなら見せていただきたいものを書いておきます。新しく作っていただく必要はありません。

ものなぜ
会社案内・パンフレット事業内容の説明が一度で済みます
ロゴのデータあれば添付だけで十分です
施工写真・商品写真枚数と中身が分かれば、撮影の要否が決まります
現在のサイトのURL中身はこちらで確認します
参考にしたいサイトこれだけは、お願いしています
AIで作った要件定義書捨てないでください。そのままお持ちください

最後の2つについて補足します。

参考サイトは、34項目の中で唯一こちらからお願いしているものです。他社のサイトでも他業種でも構いません。1本あれば、文章10行より正確に伝わります。

AIで作った要件定義書は、そのままお持ちください。分量が多く、ご本人も読み返していないことが多いのですが、元になった言葉はご本人のものです。 芯は本物なので、読み方を変えれば使えます。


「まだ何も決まっていない」で構いません

いちばん多い前置きが、これです。

  • – 「まだ何も固まっていないのですが」
  • – 「ホームページについて、全然詳しくないんですが」

どちらも、そのまま来ていただいて大丈夫です。

私たちは45分のヒアリングのあと、聞ききれなかった部分をこれまでの案件から補って、1週間で全ページ分のデモをお出しします。決まっていない状態から始めることを前提にした進め方です(要件定義書がなくても、Web制作は進みます)。

決まってから来ていただく必要はありません。


それでも揃えなければいけない場合

社内の稟議や、複数社への相見積もりで、先に書類が必要な場合もあると思います。

その場合も、お客さまだけで書き上げていただく必要はありません。45分のヒアリングのあと、こちらで下書きをお作りします。 それを見ながら整えるほうが、はるかに早く終わります。

書類が要る場合も、宿題としてはお渡ししません。書式が要るなら記入例つきのテンプレートを配布しています。


向くケース・向かないケース

この進め方が合うケース

  • – 整理する時間が取れない
  • – 何を整理すればいいのか分からない
  • – 「揃えてから」と思って、数か月止まっている
  • – 担当になったばかりで、経緯を把握していない

合わないケース

  • – 複数社に同一条件で提示して、条件を揃えて比較したい
  • – こちらと直接やり取りができない体制になっている

1つ目については、書類が必要になります。ただ、その場合も下書きはこちらで作れます。


締め

制作会社に渡す情報は、揃えなくて大丈夫です。整理していただくと、かえって情報が減ります。

先にやっていただくと早いのは、ひとつだけ。前のサイトのやり取りをしていた方を、社内で探しておくことです。いらっしゃれば同席を、いらっしゃらなければ「いない」とだけ教えてください。

あとは、そのままの状態でご相談ください。

要件定義書は、書かなくて大丈夫です。

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