BtoBの取引先選定、68.8%が「サイトの印象で取引を見送った」経験あり|112名調査の全データ
目 次
取引先を選ぶとき、相手企業の公式サイトは実際にどう見られているのか。当社は2026年8月、全国の有職者300名を対象に調査を行い、うち取引先・外注先・協力会社の検討や選定に関わった経験のある112名から回答を得ました。
結果として、68.8%がサイトの印象を理由に取引を見送った経験を持っていました。候補に残る条件の1位は「社名入りの取引実績」58.9%。そして、更新されていることはほとんど評価されない一方で、更新が止まっていることは83.0%が減点材料にすると回答しています。
本記事では、プレスリリースで触れなかったクロス集計を含め、全11問の集計結果を公開します。
この調査をした理由
Webサイトの制作を続けていると、「問い合わせが来ない」という相談を受けます。原因として最初に疑われるのは、たいてい集客です。検索順位、広告、SNS。要するに、サイトが見られていないのではないか、という見立てです。
ただ、実務の感触は少し違いました。見られていないのではなく、見られたうえで外されているのではないか。そう考えたほうが説明のつく場面が、いくつもありました。
これは制作者側の実感にすぎません。思い込みで記事を書くより、数字で確かめたほうが早い。それがこの調査の動機です。
68.8%が、サイトの印象で取引を見送っている
公式サイトの印象が理由で、その企業への依頼・発注・取引を見送った(他社を選んだ)経験があるかを尋ねました。
| 公式サイトの印象が理由で取引を見送った経験(n=112) | 割合 |
|---|---|
| 何度もある | 41.1% |
| 一度はある | 27.7% |
| ない | 31.2% |

「何度もある」と「一度はある」を合わせて68.8%。3人に2人が、サイトを理由に候補から外した経験を持っています。
続けて、見送った経験のある77名に理由を聞きました。
| 見送った主な理由(n=77・複数回答) | 割合 |
|---|---|
| 情報が古く、事業が続いているか不安だった | 44.2% |
| 料金・費用の見当がつかなかった | 37.7% |
| 実績・取引事例が無く、実力が判断できなかった | 36.4% |
| 何をしている会社か分かりにくかった | 26.0% |
| 会社の実態(所在地・沿革・代表)が見えなかった | 26.0% |
| 全体的に古く、管理されていない印象だった | 11.7% |
| 問い合わせ先や連絡手段が分かりにくかった | 9.1% |

1位は「情報が古く、事業が続いているか不安だった」44.2%。
ここで注意したいのは、この選択肢の核が「古い」ではなく「不安」のほうにあることです。デザインが古いことが直接嫌われているのではなく、更新が止まっていることが事業継続への疑念として読み取られている。同じ「古い」でも、意味がかなり違います。
問い合わせが来なかった理由が、営業活動ではなくサイトにあった。そうしたケースが一定数存在していることになります。
更新しても評価されない。止めれば切られる
サイトに次の要素があると「信頼できる/候補に残りやすい」と感じるか、11の選択肢から最大3つを選んでもらいました。このうち「情報が新しく、きちんと更新されている」を選んだ人は12.5%。11項目中、下位にとどまりました。
一方で、サイトが「何年も更新されず放置されている」ように見えた場合の評価を尋ねると、結果は反転します。
| 放置されているように見えた場合の評価(n=112) | 割合 |
|---|---|
| 大きく下がる(事業の継続性を不安に感じる/候補から外すことがある) | 43.8% |
| やや下がる | 39.3% |
| あまり変わらない | 14.3% |
| まったく変わらない | 2.7% |

「大きく下がる」43.8%と「やや下がる」39.3%を合わせて、93名。112名中の83.0%が評価を下げると回答しました。
更新されていることは、12.5%にしか加点されない。しかし更新が止まっていることは、その6.6倍の割合で減点される。

加点と減点が釣り合っていません。この非対称が、今回の調査でもっとも示唆的な結果でした。
加点する人と減点する人は、別の集団だった
前項の12.5%と83.0%を、同じ人が答えていると考えると誤読が生じます。実際には、回答者の内訳を見ると構造が違いました。
「情報が新しく、きちんと更新されている」を重視要素として選んだかどうかで、放置されたサイトへの評価を割ってみます。
| 区分 | n | 放置されていると「評価が下がる」 |
|---|---|---|
| 「更新されている」を重視要素に選んだ | 14 | 35.7% |
| 「更新されている」を重視要素に選ばなかった | 98 | 89.8% |

更新を加点要素として意識している少数派のほうが、更新の停止には寛容でした。逆に、更新を評価軸として挙げなかった大多数のほうが、9割近く減点しています。
同じ傾向は、別の角度からも確認できます。実際にサイトを理由に取引を見送った経験のある77名のうち、「更新されている」を重視要素に挙げたのは5.2%。見送った経験のない35名では28.6%でした。実際に切った経験がある人ほど、更新を評価軸として口にしません。
つまり更新は、意識して加点される項目ではなく、意識されていないのに減点される項目として機能している。そう読むのが自然です。
※この集計は14名を分母に含むため、傾向として扱うにとどめます。断定できる規模ではありません。
求められているのは、自社を語る言葉ではなく「取引の事実」
候補に残る条件として何が挙がったのか、11項目の全結果です。
| 信頼できる/候補に残りやすいと感じる要素(n=112・最大3つ) | 割合 |
|---|---|
| 具体的な取引実績・導入事例(実在する企業名・社名入り) | 58.9% |
| 料金・費用の目安 | 38.4% |
| 導入事例(社名は伏せた匿名の事例) | 36.6% |
| 事業内容・強みの分かりやすい説明 | 34.8% |
| 会社の沿革・歴史 | 12.5% |
| 情報が新しく、きちんと更新されている | 12.5% |
| 実際の社内・現場の写真(フリー素材やイメージ写真ではないもの) | 11.6% |
| 社員・スタッフの様子や人柄が分かる情報 | 8.9% |
| 代表者・社長の顔写真やメッセージ | 6.2% |
| 社員によるブログ・情報発信 | 3.6% |
| 採用情報・採用ページ | 0% |

1位は社名入りの取引実績で58.9%。ただし、社名を出せる企業ばかりではありません。守秘義務や取引先との関係から、実名の公開が難しいケースは数多くあります。
注目したいのは、その次に並んだ項目です。「料金・費用の目安」38.4%、「導入事例(社名は伏せた匿名の事例)」36.6%、「事業内容・強みの分かりやすい説明」34.8%。いずれも3分の1以上が重視しています。
社名が出せないことは、この問題の理由にはなりません。匿名の事例と料金の目安でも、判断材料としては機能します。
一方で、「代表者・社長の顔写真やメッセージ」6.2%、「社員によるブログ・情報発信」3.6%。求められているのは自社を語る言葉ではなく、取引の実態が伝わる情報だと読めます。
なお「採用情報・採用ページ」は0%でしたが、これは設問が取引先選定の判断材料を尋ねたものである以上、当然の結果です。採用サイトが不要であることの根拠にはなりません。
料金を載せないと、28.6%が問い合わせをためらう
「料金・費用の目安」は、候補に残る条件の2位(38.4%)であり、見送り理由の2位(37.7%)でもありました。では、料金が載っていないとき、見る側は実際にどう行動するのか。
| 料金・費用の目安が載っていない場合の行動(n=112) | 割合 |
|---|---|
| 気にはなるが、問い合わせはする | 55.4% |
| 問い合わせをためらう/候補から外すことがある | 28.6% |
| BtoBでは載っていないのが普通なので気にしない | 9.8% |
| そもそも料金は見ない | 6.3% |
過半数の55.4%は、料金が無くても問い合わせをすると答えています。「料金を載せなければ必ず失注する」という話ではありません。
ただし28.6%は、ためらうか、候補から外すことがある。載せないという選択には、およそ3割の離脱がコストとして付いてくる。そう理解するのが正確なところだと考えています。
生成AIで調べる人ほど、最後はサイトを見て切っている
取引先・外注先の候補を調べる際、生成AIに質問して情報を集めたことがあるかを尋ねました。「よく使う」8.9%、「何度か使ったことがある」42.9%で、合わせて51.8%がすでに利用しています。「使ったことはないが、今後使ってみたい」29.5%を加えると81.3%です。

では、AIで調べる人は公式サイトを見なくなっているのか。回答者をAIの利用状況で二分すると、逆の結果が出ました。
| 区分 | n | サイトを見て判断した | サイトを理由に見送った経験 | 既存取引先のサイトも確認する |
|---|---|---|---|---|
| 生成AIの利用あり | 58 | 98.3% | 93.1% | 94.8% |
| 生成AIの利用なし | 54 | 51.9% | 42.6% | 44.4% |

生成AIを使っている層は、98.3%が公式サイトを見て判断しています。そして93.1%が、サイトを理由に取引を見送った経験を持っていました。使っていない層との差は、3項目とも40ポイント以上あります。
AIが公式サイトの閲覧を代替しているわけではない。少なくとも現時点では、AIは候補を広げる道具として使われ、絞り込みは依然としてサイトで行われている。そう読めます。
もっとも、これは相関であって因果ではありません。情報収集そのものに熱心な層がAIも使い、サイトも見ている、という説明も同じように成立します。断定はできません。
関連して、すでに取引のある会社についても公式サイトで近況を確認することがあるかを尋ねたところ、70.5%が「よくある」「ときどきある」と回答しました。サイトは新規の検討時だけでなく、取引が続いている間も見られています。
発注する側に回った途端、87.7%が何かに困っている
視点を変えて、自社がWebサイトを作る側に回ったときのことを尋ねました。制作・リニューアルの検討に関わった経験がある73名に、困ったことを聞いています。
| Webサイトの制作・リニューアルの検討で困ったこと(n=73・複数回答) | 割合 |
|---|---|
| 要件定義書や仕様書を求められたが、書けなかった | 31.5% |
| 見積書を比べたが、違いが判断できなかった | 31.5% |
| 完成するまで仕上がりが分からなかった | 24.7% |
| 依頼先の良し悪しを見分けられなかった | 20.5% |
| 費用が妥当なのか判断できなかった | 20.5% |
| 社内で何を決めればいいのか分からなかった | 17.8% |
| 特に困らなかった | 12.3% |

「特に困らなかった」は12.3%にとどまり、87.7%が何らかの困難を経験しています。
さらに、発注する側を経験しているかどうかで見送り経験を割ると、差がはっきり出ました。Webの発注・検討に関わった経験のある73名では86.3%が「サイトの印象で取引を見送った経験がある」と回答。関わったことのない39名では35.9%です。
発注する側を経験した人ほど、見る側として厳しい。 自分が作る側で困った経験が、他社のサイトを見る目を作っている、という関係が見えます。
見る側の基準は厳しく、作る側の材料は足りない。この非対称が、BtoBの取引において機会損失を生んでいるのではないかと考えています。
上位に並んだ4項目について、当社で個別に記事をまとめています。
- 要件定義書や仕様書を求められたが、書けなかった → 要件定義書がなくても、Web制作は進みます
- 見積書を比べたが、違いが判断できなかった → webサイト制作の見積もりの比べ方|出揃ってからで間に合います
- 依頼先の良し悪しを見分けられなかった → ホームページ制作会社の選び方|3枚の見積書から体制を読む
- 社内で何を決めればいいのか分からなかった → ホームページの要件定義、社内の誰が書くべきか
この調査を受けて、当社がしていること
当社では、この非対称を前提に制作を進めています。要件定義書がなくても着手できるよう初回のヒアリングは45分にとどめ、そこから1週間で全ページのデモサイトを提示します。「完成するまで仕上がりが分からなかった」24.7%という状態を、着手直後になくすためです。
見積の違いが判断できないという声に対しては、当社が何をいくらで行うのかを、比較できる形で示すようにしています。
調査概要
| 調査名 | 取引先選定とWebサイトに関する調査 |
| 調査対象 | 全国の25〜59歳の有職者(会社員・経営者・役員・公務員・自営業・自由業) |
| 調査方法 | インターネットリサーチ(Freeasy) |
| 回収サンプル数 | 300名 |
| 集計対象 | うち取引先・外注先・協力会社の検討・選定に関わった経験のある112名 |
| 調査期間 | 2026年8月20日〜2026年8月21日 |
| 調査主体 | 有限会社キューポイント |
集計ベースの定義
| ベース | n | 定義 |
|---|---|---|
| 全体 | 300 | 回収サンプル全体 |
| 主要ベース | 112 | 取引先・外注先・協力会社の検討や選定に関わった経験のある人 |
| 見送り経験者 | 77 | サイトの印象で取引を見送った経験がある人 |
| Web発注関与者 | 73 | Webサイトの制作・リニューアルの検討に関わった経験がある人 |
回答者属性(n=112)
| 区分 | 人数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 男性 | 94 | 83.9% |
| 女性 | 18 | 16.1% |
| 20代 | 3 | 2.7% |
| 30代 | 11 | 9.8% |
| 40代 | 38 | 33.9% |
| 50代 | 60 | 53.6% |
回答者は男性83.9%、40代・50代で87.5%を占めます。母集団の性質として、この偏りを前提に読む必要があります。
そのほかの設問
本文で個別に触れなかった設問の結果です。
| 候補を検討する際、相手企業の公式サイトを見て判断材料にしたか(n=112) | 割合 |
|---|---|
| 必ず見て判断した | 35.7% |
| たいてい見て判断した | 40.2% |
| あまり見なかった | 16.1% |
| まったく見なかった | 8.0% |

必ず見た・たいてい見たを合わせて75.9%が、公式サイトを判断材料にしています。
| すでに取引のある会社の公式サイトで近況を確認することがあるか(n=112) | 割合 |
|---|---|
| よくある | 18.8% |
| ときどきある | 51.8% |
| ほとんどない | 22.3% |
| まったくない | 7.1% |
| Webサイトの制作・リニューアルの検討に関わったことがあるか(n=112) | 割合 |
|---|---|
| 主体的に発注・決定に関わった | 25.9% |
| 社内で意見を求められた/比較に関わった | 39.3% |
| 関わったことはない | 34.8% |
注記
- 構成比は小数第二位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります
- 複数回答の設問は、合計が100%を超えます
- 合算値(68.8%、83.0%、75.9%など)は実数から算出しており、丸めた値の合計とは一致しない場合があります
引用について
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