要件定義と発注の実務

ホームページの要件定義、社内の誰が書くべきか

目 次

  1. ホームページの要件定義を「誰が書くか」は、たいてい社内で決まっていません
  2. よくある候補と、実際のところ
  3. 止まるかどうかは、役職ではなく「現場を持っているか」で決まります
  4. ただし、これは「選び方」ではありません
  5. 選ぶなら、前からサイトを見ていた方です
  6. その方が現場を持っていても、構いません
  7. 前任者がすでに退職されている場合
  8. プレイヤーが窓口だと、まずいのか
  9. 要件定義の前に決めておくと早いこと、2つだけ
  10. 1. 連絡の窓口になる方
  11. 2. 最終的に決める方
  12. ホームページの要件定義書を「書く人」を決めなくていい理由
  13. 社内で意見を集めておく必要は、ありますか
  14. 向くケース・向かないケース
  15. この進め方が合うケース
  16. 合わないケース
  17. 締め

ホームページの要件定義書を書く人は、決めなくて構いません。

私たちの場合、書類を作っていただかなくても制作は進みます

代わりに、決めておいていただけると早いことが2つあります。連絡の窓口になる方と、最終的に決める方です。


ホームページの要件定義を「誰が書くか」は、たいてい社内で決まっていません

「誰が書くべきか」と調べていらっしゃる時点で、まだ担当が決まっていない状態だと思います。あるいは、自分に回ってきたけれど自信がない、という状態かもしれません。

どちらも普通のことです。年に何度もサイトを作る会社はありませんから、社内に慣れた人がいなくて当然です。

初回のご相談で、いちばんよく聞く一言があります。

「ホームページについて、全然詳しくないんですが」

担当になった方が、そう前置きされます。詳しくなくて構いません。


よくある候補と、実際のところ

社内で候補に挙がるのは、だいたい次のどれかだと思います。

候補挙がる理由
総務・管理部門社外とのやり取りに慣れていて、社内調整もしやすい
広報・マーケティング業務としていちばん関係が近い
社長・役員最終的に決めるのはこの人だから
現場の責任者中身をいちばん分かっているから

どれが正解か、という話をよくいただきます。

私たちの経験では、役職では決まりません。

言葉にできない状態から進める方法は「イメージが湧かない」まま、進める方法がありますに書いています。総務の方でうまく進む案件もあれば、止まる案件もあります。社長が窓口でも同じです。広報の方だから速い、ということもありません。


止まるかどうかは、役職ではなく「現場を持っているか」で決まります

では、何で決まるのか。

その方が、現場を持っているかどうかです。

自分の手で回している仕事を持っている方——営業をされている、現場に出ている、施工を管理している、といった方が窓口になると、確認のやり取りは後ろに回りやすくなります。

当然です。サイトの確認より、目の前の仕事のほうが先です。責める話ではまったくありません。本業が優先されるのは、正しい判断だと思います。

役職は関係ありません。社長でも、現場に出ていれば同じことが起きます。逆に、総務の方で他の業務が落ち着いていれば、確認は速く返ってきます。

つまり、確認が返ってくる速さを決めているのは、役職ではなくその方が今どれだけ手を動かしているか、ということになります。

そして多くの場合、中身をいちばん分かっている人ほど、現場を持っています。


ただし、これは「選び方」ではありません

ここを混同しないでください。

いま書いたのは、確認が返ってくる速さの話です。担当を選ぶ基準ではありません。

いちばんよくないのが、この選び方です。

「あの人なら手が空いていそうだから」

手が空いていそうかどうかで選ぶと、うまくいきません。理由は2つあります。

ひとつは、手が空いているように見える人が、実際に空いているとは限らないこと。外から見えない仕事はいくらでもあります。

もうひとつのほうが大きいのですが、その選び方には、サイトにとっての判断材料が何も入っていないからです。


選ぶなら、前からサイトを見ていた方です

社内に「前のサイトのとき、やり取りをしていた人」がいらっしゃるなら、その方がいちばん適任です。

理由は、経緯を知っているからです。

  • – ドメインをどこで取ったか
  • – サーバーの契約が誰の名義になっているか
  • – 前の制作会社と、どういうやり取りがあったか
  • – 過去に何を試して、何がうまくいかなかったか

これらは、調べれば分かるものもありますが、時間がかかります。 そして最後の1つは、社内の記憶にしか残っていません。

私たちが「必ず教えてください」とお願いしている項目の中に、「現在のドメイン・サーバー」と「前の制作会社との関係」があります。この2つは、前から見ていた方なら即答できます。 そうでない方だと、社内を探すところから始まります。

同じ45分のヒアリングでも、密度がまったく変わります。

その方が現場を持っていても、構いません

前からサイトを見ていた方が、いまは現場に出ている——ということもあると思います。

それでも、その方を窓口にしていただくほうがいいです。何を聞かれるかは要件定義書の34項目を「書く/書かない」で仕分けしましたにまとめています。確認が遅れる件は、こちらが進め方で吸収できます。経緯を知らないことは、吸収できません。

前任者がすでに退職されている場合

よくあります。その場合は、分かる範囲で構いません。

「前の担当者がもういないので、何も分からない」——そう言っていただければ、そこから調べる前提で進めます。ドメインやサーバーの調べ方は、こちらでご案内します。


プレイヤーが窓口だと、まずいのか

まずくありません。

私たちが最初にこれを伺うのは、担当を替えていただくためではないからです。進め方をこちらで変えるためです。

窓口の方が現場をお持ちだと分かっていれば、確認を待つ前提で進行を組みません。待っている間も、こちらは先に進めておきます。

一般的なWeb制作では、こういう場面が出てきます。

  • – 原稿をお待ちしています
  • – ご確認をいただいてから次に進みます
  • – 修正のご指示をお待ちしています

私たちは、この形を取っていません。デモをスタート地点に置いているのは、そのためです。まずこちらが形にして、それを見ながら決めていただきます。

止まる原因を減らすのではなく、止まらない進め方に変えている、という言い方が近いと思います。


要件定義の前に決めておくと早いこと、2つだけ

1. 連絡の窓口になる方

1人で十分です。 その方がWebに詳しい必要はありません。

やっていただくのは、こちらからの連絡を受けて、社内に回していただくことです。内容の判断まで担っていただく必要はありません。

「詳しくないので自分では決められません」という状態で、まったく問題ありません。

選べるのであれば、前からサイトを見ていた方を。いらっしゃらなければ、どなたでも構いません。

2. 最終的に決める方

こちらのほうが重要です。

デモをご覧いただくと、社内の複数の方から意見が出ます。それ自体はいいことなのですが、意見が並んだまま優先順位がつかないと、そこで止まります。 書類があってもなくても、これは同じです。

ですので、意見が割れたときに誰が決めるかだけ、先に決まっていると早く進みます。

分野ごとに分かれていても構いません。

「デザインは社長が決める。文章は広報の担当者。採用ページは人事部長」

このような形でも、まったく問題ありません。決まっていることが大事です。


ホームページの要件定義書を「書く人」を決めなくていい理由

ここまで、書く人の話をしていません。

私たちの場合、要件定義書を書いていただかなくても進むからです。

45分のヒアリングを行い、そこで聞ききれなかった部分は、これまでの案件から補います。そして1週間後に全ページ分のデモをお出しして、そこで答え合わせをします。

書類を書く担当を決める必要も、社内で分担する必要もありません。「誰が書くか」で社内が止まること自体を、なくしています。

もし社内の稟議などで書類が必要な場合は、ヒアリングのあとこちらで下書きをお作りします。 その場合も、宿題としてはお渡ししません。


社内で意見を集めておく必要は、ありますか

ありません。

「事前に各部署の要望をまとめておいたほうがいいですか」と聞かれることがありますが、まとめていただかなくて大丈夫です。

理由は、まとめる段階で情報が減るからです。要望を集約すると、たいてい当たりさわりのない言葉になります。そして、当たりさわりのない要望からは、当たりさわりのないサイトしか出てきません。

集めていただくより、デモをご覧いただいたときの反応を伺うほうが、はるかに具体的なものが出てきます。

このあたりは、ヒアリングの話として別の記事に書いています。


向くケース・向かないケース

この進め方が合うケース

  • – 社内に専任の担当者がいない
  • – 担当になった方が、他の業務と兼務している
  • – 前の担当者が退職していて、経緯が分からない
  • – 過去に、確認待ちでプロジェクトが止まった経験がある
  • – 誰が書くかで社内が決まらず、着手できていない

合わないケース

  • – 社内の規程で、着手前に要件定義書の承認が必要
  • – 複数社に同一条件で相見積もりを取る必要がある

この2つは、書類が制作のためではなく手続きのために必要なケースです。この場合は書類を作ります。ただ、その場合も担当の方が一人で抱える必要はありません。ヒアリングのあと、こちらで下書きをお作りします。


締め

要件定義書を書く人は、決めなくて構いません。

決めておいていただけると早いのは、連絡の窓口になる方と、最終的に決める方の2つだけです。どちらも、Webに詳しい方である必要はありません。

選べるのであれば、前からサイトを見ていた方を窓口に。経緯を知っている方がいるだけで、立ち上がりがまったく違います。手が空いていそうかどうかで選ぶのは、おすすめしません。

そして、その方が現場をお持ちでも問題ありません。分かっていれば、こちらが待たない進め方にします。

担当になったばかりで、何から手をつければいいか分からない——という状態で構いません。

そのままの状態でご相談ください。

要件定義書は、書かなくて大丈夫です。

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