要件定義と発注の実務

サイトリニューアルの要件定義。既存サイトのどこを引き継ぐか

目 次

  1. サイトリニューアルで引き継ぐものは、3種類あります
  2. 1. ドメインとURL
  3. 2. 既存ページ|ここがいちばん迷います
  4. 「見られているが、問い合わせにつながらないページ」
  5. 残すにしても、置き方は変えられます
  6. 3. 資産|使えるものは全部使います
  7. リニューアルの要件を、全部いま決める必要はありません
  8. デモを見てから決められます
  9. 公開後にも、決められます
  10. サイトリニューアルで、見落とされやすいもの
  11. 向くケース・向かないケース
  12. この進め方が合うケース
  13. 合わないケース
  14. 締め

サイトリニューアルの要件定義で最初に決めるのは、新しく何を作るかより「いま持っているものの何を引き継ぐか」です。

引き継ぐ対象は、ドメイン・URL/既存ページ/写真や実績といった資産の3つに分かれます。

ただ、これを着手前にすべて決めきる必要はありません。迷うページは、残したまま公開して、あとから決められます。


サイトリニューアルで引き継ぐものは、3種類あります

中身判断のしやすさ
ドメイン・URLサイトの住所基本は引き継ぎます
既存ページ会社案内、事例、ブログ記事などいちばん迷うところ
資産写真、図面、実績データ、原稿使えるものは全部使います

順に書きます。


1. ドメインとURL

ドメインは、基本的にそのまま引き継ぎます。

長く使っているドメインには、検索エンジンからの評価が蓄積しています。名刺やパンフレットにも印刷されています。変える理由が特にないなら、そのままが安全です。

問題になりやすいのは、個別ページのURLのほうです。

リニューアルでページ構成が変わると、URLも変わります。すると、以前のURLで来た人がエラー画面に行き当たります。検索結果に残っている古いURLからも、たどり着けなくなります。

これを防ぐために、古いURLから新しいURLへ転送する設定(301リダイレクト)を入れます。

この作業は、こちらでやります。 一覧を作っていただく必要はありません。現在のサイトを見れば分かることなので、お客さまにお願いすることはありません。


2. 既存ページ|ここがいちばん迷います

「このページは残すのか、消すのか」——リニューアルでいちばん時間を使うのが、ここです。社内で揉めやすい理由はホームページリニューアルの要件定義で、いちばん揉めるところに書きました。

判断の材料になるのは、2つだけです。

  • 見られているか
  • 問い合わせにつながっているか

この2つで整理すると、こうなります。

問い合わせにつながるつながらない
見られている当然、残しますここが問題
見られていない残す価値があります統合・削除の候補

左下が意外に思われるかもしれません。見られていなくても、営業の場で見せているページや、採用の面接で使っているページがあります。検索から来ないだけで、役割はあります。

そして右上が、本題です。


「見られているが、問い合わせにつながらないページ」

これがいちばん判断に迷います。実際、私たちも相談されることが多い部分です。

考え方はこうです。

消してもいいのですが、消すデメリットが特にないなら、残しておくほうがいいと思います。

理由は、直帰率が高くても、知っていただく入口としては働いている可能性があるからです。

そのページを読んだ人が、その場では何もせずに帰ったとします。ただ、社名だけは目に入っています。半年後に別の場面で名前を見たとき、「ああ、あの会社か」となる。そういう働き方をしているページは、数字には出ません。

問い合わせの数だけで判断すると、この働きが見えないまま消すことになります。

もちろん、内容が古すぎる、事実と違う、恥ずかしい——といった理由があるなら、消すか直すかしたほうがいいです。判断の軸は「成果が出ていないから」ではなく、「置いておいて困るかどうか」のほうです。

残すにしても、置き方は変えられます

残すと決めた場合も、そのままにしなくて構いません。

そのページの最後に、関連するページへの案内を1つ置く。それだけで、「読んで帰るだけ」だったページが、次につながる可能性が出てきます。

消すか残すかの二択ではなく、残して、置き方を変えるという選択肢があります。


3. 資産|使えるものは全部使います

写真、図面、実績のデータ、これまでの原稿。新しく作り直す前に、使えるものがないか先に確認します。

  • – 施工写真が数百枚ある
  • – 過去のパンフレットの原稿がある
  • – 展示会で使ったパネルのデータが残っている

こういうものは、そのまま使えることが多いです。「古いから使えない」と思われているものが、実は十分使える、というケースもよくあります。

探して整理していただく必要はありません。 「たぶんこのへんにあると思う」で結構です。あとはこちらで見ます。


リニューアルの要件を、全部いま決める必要はありません

ここまで判断の話を書いてきましたが、着手前に全部決めていただく必要はありません。

理由は2つあります。

デモを見てから決められます

1週間後にお出しする全ページ分のデモを見ながら決められます。

45分のヒアリングのあと、1週間で全ページ分のデモをお出しします。既存ページをどう扱うかも、そこに反映した状態でご覧いただけます。

図や表で議論するより、実際に並んだ状態を見たほうが速く決まります。 「やっぱりこれは要らない」「これは残したい」が、その場で出ます。

公開後にも、決められます

ご希望の方には、公開後もアクセス解析と記事制作をお手伝いしています。月に一度、数字を一緒に見る場を持ちます。

迷ったページを残したまま公開して、数か月後の数字を見てから決める——これができます。

判断材料がない状態で今決めるより、材料が揃ってから決めるほうが、精度が上がります。迷っているページは、迷ったまま公開して構いません。


決めきらないまま進めた場合どうなるかは要件が固まらないまま進めた案件は、その後どうなったかに書いています。


サイトリニューアルで、見落とされやすいもの

最後に、相談のときによく出てくるものを挙げておきます。

見落としやすいものなぜ
営業が使っているページアクセス数は少ないが、商談で見せている
採用の応募者が見ているページ応募前に社内の雰囲気を確認されている
検索で強いブログ記事内容が古くても、順位を持っていることがある
前の担当者が作った資料ページ社内で「あって当たり前」になっていて、誰も話題にしない

3つ目は特に注意が要ります。古いから消す、という判断で、順位ごと失うことがあります。 内容を直して残すほうがいい場合が多いです。

このあたりは、現在のサイトの数字を見れば分かります。こちらで確認しますので、調べていただかなくて大丈夫です。


何を書いて何を書かないかは34項目の仕分け、窓口をどなたにするかは社内の誰が書くべきかに書いています。


向くケース・向かないケース

この進め方が合うケース

  • – 何を残して何を消すか、社内で決まっていない
  • – 前の担当者が退職していて、経緯が分からない
  • – サイトが古く、どこから手をつければいいか分からない
  • – 公開後に様子を見ながら整理していきたい

合わないケース

  • – 着手前に、移行対象の一覧を書面で確定させる必要がある
  • – 現在のサイトのデータにアクセスできず、こちらでも確認できない

2つ目について補足すると、前の制作会社と連絡が取れず、管理画面にも入れない、という状況はあります。その場合も進められますが、確認できる範囲が狭くなるぶん、判断は慎重になります。


締め

リニューアルで引き継ぐものは、ドメイン・URL、既存ページ、資産の3つです。

このうちいちばん迷うのが既存ページですが、判断の軸は「成果が出ているか」ではなく「置いておいて困るか」です。見られているのに問い合わせにつながらないページも、消すデメリットがないなら残す、という判断があります。

そして、全部をいま決める必要はありません。デモを見てから決められますし、公開後の数字を見てからでも決められます。

公開してしばらく経ったお客さまから、こういう連絡をいただくことがあります。

「問い合わせが増えました。顧客からも好評です」

決めきらないまま公開しても、そこにたどり着けます。

そのままの状態でご相談ください。

要件定義書は、書かなくて大丈夫です。

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