要件定義と発注の実務

RFPと要件定義書、混ざっていて大丈夫です

目 次

  1. RFPと要件定義書は、実際に混ざっています
  2. 「混同しないよう注意しましょう」と書かないことにしました
  3. 一応、RFPと要件定義書の違いを書いておきます
  4. 区別が要る場面は、ひとつだけです
  5. 変わるのは、見積の内訳の割り方です
  6. 書類の名前は、どちらでも構いません
  7. 私たちにご依頼いただく場合
  8. 向くケース・向かないケース
  9. この記事のとおりで大丈夫なケース
  10. きちんと区別が必要なケース
  11. 締め

RFPと要件定義書が混ざっていても、大丈夫です。

区別が必要なのは制作会社の側であって、発注される方の側ではありません。

実務上、区別が要る場面はひとつだけ。それは呼び方ではなく、「何社にお渡しになるか」です。


RFPと要件定義書は、実際に混ざっています

私たちのところに来る書類は、けっこう混ざっています。

  • – 「RFPを作らないと」とおっしゃりながら、出てくるのは要件定義書に近いもの
  • – 要件定義書として作られたものを、そのまま何社かに配っている

どちらの方向も起きています。 そして、どちらも問題なく進んでいます。

ご相談の第一声で、こう言われることがあります。

「ホームページについて、全然詳しくないんですが」

この状態で、RFPと要件定義書の使い分けまで求めるのは、無理があると思っています。


「混同しないよう注意しましょう」と書かないことにしました

この件を調べると、たいてい次のように書かれています。

「RFPと要件定義書は別物です。混同しないよう注意しましょう」

間違ってはいません。ただ、読んだ方はこう思うはずです。

「じゃあ、自分が作ったのはどっちなんだ」

そこで手が止まります。せっかく作りかけたものを、正しいかどうか判定する作業が新しく増えます。これは宿題です。

私たちの答えは、こちらです。

「どちらでも構いません。こちらで見分けます。」

見分けるのは、こちらの仕事です。書類を受け取って中身を読めば、何をしたい書類なのかは分かります。分からなければ伺います。


一応、RFPと要件定義書の違いを書いておきます

求められている情報なので、書きます。覚えていただく必要はありません。

RFP要件定義書
目的提案してもらう作るものを決める
言っていること「こういうことをやりたいので、提案と見積をください」「こう作ります」
読む相手複数の制作会社決まった1社
書く時点会社を選ぶ会社が決まったあと
中身の粒度目的と条件が中心仕様まで踏み込む

教科書的な順番は、RFPを配る → 提案を受けて選ぶ → 選んだ会社と要件定義書を作る、です。

ただ、この順番どおりに進む案件は、そう多くありません。先に相談する会社が1社決まっていて、その会社と一緒に書類を作る、という進み方のほうがよく見ます。その場合、RFPの工程はそもそも発生しません。

順番どおりでないから間違い、ということはありません。


区別が要る場面は、ひとつだけです

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

「これ、何社にお渡しになりますか」

この一問で、必要なことは決まります。

1社に渡す複数社に渡す
実質的に要件定義書RFP
必要なもの中身だけで足ります中身+4つの追加

複数社に渡す場合に足りなくなるのは、この4つです。

  1. 1. 提出の期限と、提出先
  2. 2. 見積の内訳を、どう割ってほしいか
  3. 3. 何を基準に選ぶか、いつ決めるか
  4. 4. 秘密保持についての一文

呼び方の定義よりも、この4つがあるかないかのほうが、実務では効きます。


変わるのは、見積の内訳の割り方です

4つのうち、抜けると困るのがこれです。

複数社から見積を取ったのに、比べられないという状態がよく起きます。原因は、割り方を指定していないことです。

たとえば、こういう見積が並びます。

A社B社
一式 120万円デザイン 40万円
実装 60万円
CMS構築 20万円

この2つは、比較できません。 合計が同じでも、何にいくらかかっているかが分からないので、どちらが妥当かを判断できません。

結果として、合計金額だけで選ぶことになります。

ですので、RFPを配るときは割り方を指定してしまうのがいちばん早いです。

  • – ページ制作費と、システム・CMS部分を分けてください
  • – 初期費用と、公開後にかかる費用を分けてください
  • – 写真撮影・原稿作成が含まれるかどうかを、明記してください

このくらいで十分です。指定されて困る制作会社は、たぶんありません。


書類の名前は、どちらでも構いません

タイトルに「RFP」と書いてあっても、渡す先が1社なら、要件定義書として扱います。

「要件定義書」と書かれたものを何社かに配っておられるなら、それはRFPとして機能しています。足りない4つをこちらから補います。

書類の名前を直していただく必要はありません。

私たちが伺うのは、渡す先が何社か、ということだけです。


私たちにご依頼いただく場合

私たちは、記入例つきの要件定義書テンプレートを配布しています。これはRFPとしても使えます。 複数社に渡される場合だけ、先ほどの4つを足してください。

そして、これも書いておきます。テンプレートを埋めていただく必要はありません。

45分お話を伺って、こちらで下書きをお作りします。それを見ながら整えていただくほうが、はるかに早く終わります。複数社に配るための書類でも、同じです。

私たちが選ばれないかもしれない書類を、私たちが作ることになりますが、それで構いません。書類作りで止まっているほうが、もったいないので。


要件定義そのものの整理はWebサイトの要件定義とは何か、34項目の仕分けは要件定義書の34項目を「書く/書かない」で仕分けしました、要件定義だけの外注は要件定義だけを外注できるか、制作会社による違いは要件定義書を求める制作会社と、求めない制作会社の違いに書いています。


向くケース・向かないケース

この記事のとおりで大丈夫なケース

  • – どちらを作ればいいのか分からず、止まっている
  • – 作ったものが正しいか、自信がない
  • – 名前は分からないが、やりたいことは決まっている
  • – 何社かに声をかけたいが、書類の作り方が分からない

きちんと区別が必要なケース

  • 公共の入札、またはそれに準じた手続き
  • – 社内規程で、調達の様式が定められている
  • – 親会社やグループの購買部門を通す必要がある

この場合は、様式が先に決まっています。名前も中身も、その様式に合わせることになります。その場合も、書き上げるのはこちらでお手伝いできます。 様式を見せていただければ、それに合わせて下書きを作ります。


書類がなくても進む理由は要件定義書がなくても、Web制作は進みますに書きました。


締め

RFPと要件定義書が混ざっていても、大丈夫です。区別が必要なのは、こちらの側です。

実務で効くのは呼び方ではなく、何社にお渡しになるか。1社なら中身だけで足ります。複数社なら、提出期限・見積の割り方・選定基準・秘密保持の4つを足してください。

判定していただく必要も、書き直していただく必要もありません。作りかけのままで構いません。 そのままの状態でご相談ください。

要件定義書は、書かなくて大丈夫です。

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