160本書いて、一度やめました。もう一度やる理由を書きます
目 次
ホームページ制作は、競争の激しい市場です。「ホームページ制作」と検索すれば、上位は広告と大手で埋まっています。私たちのような6人の会社が、そこに正面から並ぶのは簡単ではありません。
私たちは2年で160本ほどの記事を書きました。そして一度やめました。
これからもう一度やります。何をするか、そして何が起きるかを、この場所に全部書いていきます。うまくいかなかったときも書きます。
第1回は、いまの数字と、やめた理由と、戻る理由です。
何をやって、なぜやめたのか
| 時期 | やったこと |
|---|---|
| 2023〜2024年 | 160本ほどの記事を公開 |
| 2025年〜2026年 | 新しい記事はゼロ |
2025年から書くのをやめたのは、手が回らなくなったからではありません。やめる判断をしました。
理由は単純です。営業紹介会社から案件をいただくほうが、確実で早かったからです。
記事を書けば人が来るかもしれない。でも来ないかもしれない。一方、紹介でいただく案件は、目の前に確実にあります。6人の会社が限られた時間をどちらに使うかと言われれば、後者になります。
この判断自体は、いまでも間違っていなかったと思っています。
私たちは営業が得意な会社ではありません。作ることに時間を使いたい会社です。その意味でも、噛み合っていました。
やめた1年後に、順位はいちばん良くなりました
ここが、あとから振り返っていちばん考えさせられた部分です。
書くのをやめた後、記事の順位は上がり続けました。
| いちばん良かった時期 | 2025年後半 |
| 月あたりのクリック | 約1,215 |
| 平均掲載順位 | 10.3位 |
平均10位は、検索結果の1ページ目です。悪くない位置です。しかも何もしていない状態でそこまで行きました。
では、そのとき仕事は増えたのか。
2024年からいままでの約2年間で、ホームページ制作のご相談は5件ほどです。
月に1,000回以上クリックされていた時期を含めて、2年で5件です。案件は変わらず、紹介とリピートからいただいていました。
順位が上がっても、仕事は増えませんでした。 これは自分の会社で確かめたことなので、他に説明のしようがありません。
そのあと、落ちました
2026年2月、Googleの検索アルゴリズムが更新された時期に、順位が下がりました。平均10.3位だったものが、いまは35.4位です。
ペナルティではありません。Search Consoleに手動による対策の通知はなく、落ちた日の前後で私たちがサイトを触ってもいません。評価の基準が変わったときに、私たちのサイトが評価されない側に回った、ということです。
ただ、これはそれほど大きな出来事ではありませんでした。
すでに手を引いていた場所です。仕事につながっていない順位が下がっただけでした。
データを全部並べて、分かったこと
順位が落ちたあと、16か月分の検索データを並べて見ました。落ちた話より、こちらのほうがずっと重い内容でした。
① 来ていた人は、発注を考えていない人でした
いちばんクリックを集めていたのは「ウェブサイトとは」のような、言葉の意味を調べている検索です。
読んでいただけたのはありがたいことです。ただ、その方が「ホームページを作りたい」と考えている確率は、かなり低いです。
② 発注を考えている人の検索には、いませんでした
反対側を数えました。「要件定義書 テンプレート」「ホームページ制作 依頼」のような、発注が近い人が打つ検索です。
143種類あって、合わせて約85,000回表示されていました。そこから来たクリックは、ほとんどありません。
私たちの本業に直結する「要件定義」まわりに絞ると、こうです。
| 16か月の表示回数 | 約3,500回 |
| クリック | 30 |
| 平均順位 | 46.7位(5ページ目) |
人はもう来ています。私たちが、そこにいなかっただけです。
レッドオーシャンで、何が起きていたのか
ここまでを一行にすると、こうなります。
160本書いて、順位は上がって、仕事は増えませんでした。
長いあいだ、これを「量が足りなかった」「更新が止まったから」と考えていました。どちらも違いました。
書いていた記事は、調べれば書ける内容でした。ホームページ制作の一般的な解説、費用の相場、進め方の手順。丁寧に書いたつもりですが、私たちでなくても書けるものでした。
競争の激しい市場では、これが決定的に効きます。
調べて書ける記事は、書いた分だけ埋もれます。
埋もれないのは、その会社の中にしかない話で書かれた記事だけです。
競争が少ない市場なら、丁寧に書けば残ります。競争の激しい市場では、同じ内容がすでに何百本もあります。そこに1本足しても、順位はともかく、選ばれる理由にはなりません。
そして選ばれる理由がない記事は、順位が上がっても仕事につながらない。実際そうなりました。
では当時、どうすればよかったのか
答えは分かっています。自分たちの中にしかない話を書けばよかったのです。
ただ、いま正直に書いておきたいことがあります。
2024年の時点では、書けるものがありませんでした。
進め方が固まっていませんでした。案件ごとにやり方が違い、担当によっても違いました。「うちのやり方」と呼べるものが、まだ存在していなかったのです。
存在していないものは、書けません。だから調べて書きました。だから埋もれました。
順番が逆だった、という話ではありません。順番が来ていなかった、という話です。
いま戻る理由
この2年で、社内の作り方が固まりました。書けるものができました。
たとえば、こういうことです。
- 最初のお打ち合わせは45分です。何を聞いて、何を聞かないかが決まっています
- その1週間後に、全ページ分のデモをお見せします。文章と写真が入った状態です
- 一般的な要件定義書には34項目ほどありますが、そのうちお客さまに書いていただかない項目と、その代わりに私たちがどう埋めるかが決まっています
- 分業をやめて、一気通貫にしました
- 提案書から原稿、デザイン、コーディングまでAIを使っています。浮いた時間は、中身の精査に回しています
どれも、調べても出てきません。うちの中にしかない話です。
そして、このサイト自体も作り直しました。トップページのいちばん上のコピーは変えていません。変えたのは、そのすぐ下です。いまは「商談からテストサイトまで最短1週間」という一節を置いています。
2024年には、書けなかった一節です。 言えるようになったのは、言えるだけの中身ができたからです。
そして体制は、いまも毎月変わっています。つまり書ける材料は、これから増え続けます。
もう一度やるのは、暇になったからではありません。書けるものができたからです。
最初にやること
「要件定義」まわりで、27本を用意しました。すでに書き上がっています。
このテーマを選んだ理由は、さきほどの数字です。約3,500回表示されて、クリックが30。人はもう来ていて、私たちが答えていなかった場所です。
そして27本すべて、私たちが実際にやっていることしか書いていません。 調べて書ける内容は、意図的に外しました。今度は同じ失敗をしないためです。
先に、線を引いておきます
いちばん大事な部分です。うまくいったかどうかを後から都合よく判断できないように、いま基準を書いておきます。
| 見るもの | 現在 | 3か月後にこうなっていたら成功 |
|---|---|---|
| 要件定義まわりの検索からのクリック | 30 | 100〜200 |
| 同・平均順位 | 46.7位 | 30位台 |
| 「webサイト 要件定義 テンプレート」の順位 | 20.1位 | 1ページ目 |
| ホームページ制作のご相談 | 2年で5件ほど(月0.2件) | 3か月で2件以上 |
最後の行について、書いておかなければならないことがあります。
私たちは、問い合わせが記事から来ているかどうかを、きちんと数えていませんでした。 順位とアクセス数は見ていました。いちばん見なければならないものを、見ていませんでした。 お客さまにはご説明してきたことです。自社では、できていませんでした。
そして、数え方も決めました。
フォームの送信回数は数えません。
私たちのフォームには、毎日4〜5通のメールが届きます。ほとんどが売り込みです。 2年で3,000通を超えます。そのうち、ホームページ制作のご相談は5件ほどでした。
送信回数を数えても、何も分かりません。 数字が動いても、それは売り込みが増えたという意味かもしれないからです。
代わりに見るのは、届いたメールの中身です。ご相談なのか、売り込みなのか。この件数なら、読んだほうが早くて正確です。
そして、件数より知りたいことがあります。何と書かれていたかです。
「要件定義書を書かないといけないと思っていたのですが」——もしそう書かれていたら、それは27本が届いた証拠になります。件数からは、それが分かりません。
2024年にやっていたのは、量を見ることでした。今度は、中身を見ます。 記事の作り方を変えたのと、同じことです。
記録用の表は作りません。この連載が、その場所です。
何件届いたか、何と書かれていたか、順位はどうなったか。次の回に、ここに書きます。 別の場所に溜めておいて後から見せる形にすると、都合のいい数字だけを選べてしまうので。
そして、失敗の定義も書きます。
3か月後、クリックが100に届かなかったら、記事の作り方が間違っていたということです。
そのときは、何が違ったのかをこの場所に書きます。
ご相談の件数についても、先に書いておきます。もともと2年で5件という数です。3か月では、増えたのか偶然なのか判断できません。 それでも記録します。半年後、1年後に意味を持つからです。
数字を後から選び直さないために、先に置いておきます。
なぜ、これを公開するのか
私たちは数年前に、提案のやり方を変えました。提案書と見積もりをお持ちする形をやめて、先に全ページ分のデモをお作りして、それを見ていただく形にしました。
理由は、断りやすくするためです。
説明を聞いて完成形を想像するのは、お客さまの仕事ではないと思っています。見て、違うと思ったら断っていただける。そのほうが、お互いに間違いが少ない。結果として、受注率は10%前後から20%前後になりました。
この記録は、それと同じことをしています。
うちに頼むとどうなるかを、頼む前に見ていただく。 一度やめたことも、数えていなかったことも、含めてです。
書いた27本は要件定義と発注の実務にまとめてあります。
それから、もうひとつあります。競争の激しい市場にいるのは、私たちだけではありません。 工務店も、福祉施設も、採用で人を集めたい会社も、同じ場所にいます。
うまくいかなければ、そう書きます。
次回
27本を、まとめて公開します。反応が出たら、そのまま書きます。